第88回 知の拠点セミナー

第88回 知の拠点セミナー
講演1 「ヒッグス粒子発見の意味~宇宙誕生の非常識~ 」 / 講演2 「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)-研究所から病院へのバトンタッチ-」

日時 令和元年7月19日(金) 18時00分~20時00分(※17時30分から受付開始)
場所 京都大学東京オフィス
(東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸の内ビルディング10階:アクセスマップ
JR、東京メトロ丸ノ内線「東京駅」直結。東京駅新幹線ホームより徒歩10分。丸の内北口改札出てすぐ。
※6月より開催場所が変わりましたのでご注意ください。
プログラム
18:00-19:00
講演1 「ヒッグス粒子発見の意味~宇宙誕生の非常識~ 」

浅井 祥仁(東京大学素粒子物理国際研究センター センター長)
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19:00-20:00
講演2 「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)-研究所から病院へのバトンタッチ-」

鈴木 実(京都大学複合原子力科学研究所・粒子線腫瘍学研究センター・粒子線腫瘍学分野 教授)
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講演1:「ヒッグス粒子発見の意味~宇宙誕生の非常識~ 」

浅井 祥仁(東京大学素粒子物理国際研究センター センター長)

写真(講演者)

2012年に発見されたヒッグス粒子は、翌年にはノーベル物理学が受賞されるほど、これまでの素粒子像
変える大発見でした。
何もない“無”から、この宇宙がどうして生まれたのでしょうか?
エネルギー保存の常識では、何もない無から、このような物質に満ちた宇宙を作り出すことができません。
とんでもない非常識が起きたのです。その鍵を握るのが、ヒッグス粒子です。
ヒッグス粒子には、宇宙を誕生させ進化させていった不思議な性質があります。また、ヒッグス粒子の
発見により、今後の素粒子研究は「時間・空間」を素粒子を通して解明して行く新しい段階へと進んでいきます。
本セミナーでは、素粒子の基礎的な話から始めて、最先端の実験装置の解説と合わせて、新しい素粒子
像・宇宙像について考えます。

 

 

(左上写真)スイスにある欧州合同素粒子原子核研究機構(CERN)。赤い円は大型ハドロン衝突型加速器(LHC)。

(左下写真)2012年7月、ATLAS実験で観測されたヒッグス粒子の生成事象。

(右図)素粒子研究は「統一」の歴史によって新しいパラダイムが切り拓かれる。

 

講演2:「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)-研究所から病院へのバトンタッチ-」

鈴木 実(京都大学複合原子力科学研究所・粒子線腫瘍学研究センター・粒子線腫瘍学分野 教授)

写真(講演者)

京都大学複合原子力科学研究所(以下、複合研)は、研究用原子炉を有する研究所です。がん治療を行う医療とはなじみがない研究所と思われるかもしれませんが、研究用原子炉から取り出される中性子線という放射線を使って、これまで600例以上のがん患者さんに、ホウ素中性子捕捉療法(boron-neutron capture therapy、以下BNCT)という治療を実施してきました。BNCTは、一緒に載せました図にありますように、がん細胞を選択的に破壊するユニークな放射線治療です。

 これまで、BNCTは十分な中性子線がとりだせる原子炉のある研究所でしか実施することはできませんでした。このユニークなBNCTという治療を、病院で行うために小型の加速器BNCT照射装置を京都大学と企業が協力して開発に成功しました。現在、BNCTに使用するホウ素を含んだ薬剤と加速器BNCT照射装置を、国から承認された薬剤、医療機器としての認可を得るための治験という臨床研究が行われています。大学附属の研究所で開発、改良が進められてきたBNCTが、承認された医療として、病院で多くの患者さんに提供できる日が近づいています。ユニークなBNCTの治療法と病院で実施されるBNCTの将来像を解説します。

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