国立大学共同利用・共同研究拠点協議会

第67回 知の拠点セミナー

第67回 知の拠点セミナー
講演1 「放射線と甲状腺がん:ヒバクシャ研究からのメッセージ」 / 講演2 「照準を合わせろ!がんに対する放射線治療の現状と課題」

日時 平成29年10月20日(金) 18時00分~20時00分(※17時30分から受付開始)
場所 京都大学東京オフィス
(東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸の内ビルディング10階:アクセスマップ
プログラム
18:00-19:00
講演1 「放射線と甲状腺がん:ヒバクシャ研究からのメッセージ」

中島 正洋(長崎大学原爆後障害医療研究所 教授)
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19:00-20:00
講演2 「照準を合わせろ!がんに対する放射線治療の現状と課題」

原田 浩(京都大学放射線生物研究センター 教授)
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講演1:「放射線と甲状腺がん:ヒバクシャ研究からのメッセージ」

中島 正洋(長崎大学原爆後障害医療研究所 教授)

写真(講演者)

 長崎大学原爆後障害医療研究所(原研)では、被爆地長崎に存在する研究機関の責務として、創設以来長年にわたり放射線被ばくに関連する疾患のリスク管理や発症メカニズムの解明研究に取り組んできました。「ヒバクシャ」とは、原爆被爆者を代表とする放射線汚染による何らかの人体影響を受けた可能性のある個人を指し、英語でも”Hibakusha”として表記され一般名詞として使用されるようになっています。2011年の福島原発事故以来、放射線被曝の甲状腺、特に小児への影響が社会的関心事となっていて、被ばくの健康影響がどこまで重大でどこまで許容できるのかといった議論がなされていますが、答えは出ていません。チェルノブイリ原発事故後のヒバクシャ小児甲状腺がんの急増から、若年被ばくが甲状腺発がんのリスク因子であることが広く知られるようになりました。広島・長崎の被爆者長期コホート研究では、甲状腺発がんリスクは、被爆時年齢10歳未満では約10倍であるのに対し、40歳以上では対照と同じで若年被爆者での甲状腺発がんリスクの亢進は被爆後70年が過ぎた現在にも及んでいることが示唆されています。放射線発がん研究において、若年被ばくでの長期間存続する発がん亢進メカニズムは未だに解明されていません。疫学的データは集団を対象としていて、その被ばく影響は集団間比較のリスク比として表現されるため、個人への放射線影響の評価は曖昧となります。すなわち、放射線被ばく後に甲状腺がんが、自然発がんに加えて増えることは示されても、どの甲状腺がんが自然発がんまたは放射線被ばくに起因した発がんかは、現在でも証明する術はありません。本講演ではヒバクシャ研究から判明している放射線の甲状腺がんへの影響を述べ、現時点での問題点を整理し、それを解決し将来に役立てるための研究の方向性を考えてみたいと思います。

講演2:「照準を合わせろ!がんに対する放射線治療の現状と課題」

原田 浩(京都大学放射線生物研究センター 教授)

写真(講演者)

 古代ギリシャの医師・ヒポクラテスが乳がんの外科手術を行ったのは2,400年あまり前のことです。以来、外科手術・抗がん剤・放射線治療法などが開発・高精度化されてきましたが、未だに人類はがんを掌握できていません。治療抵抗性がん細胞の存在が一因です。本講演では「がんに対する放射線治療」にフォーカスを当て、「がんが治療抵抗性を獲得する仕組み」と「新たな治療法の確立に向けた私達の取り組み」を紹介したいと思います。

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