第46回 知の拠点セミナー

「脳とは,認知症とは,そしてこころとは」

日時平成27年7月17日(金) 17時30分~
場所京都大学東京オフィス
(東京都港区港南2-15-1 品川インターシティA棟27階: アクセスマップ
講演者高橋 均
新潟大学脳研究所 新潟大学 研究・社会連携担当理事)
講演の詳細はこちらでご覧いただけます (Yomiuri Onlineのページを開きます)

 今日、多くの人々が人間の脳に興味を持っておられると思いますが、こころが脳に宿っていること自体に疑問を持つひとはおそらくいないでしょう。また、とくに年配のひとは認知症にも、興味が及んでいると思います。団塊の世代、それは昭和22〜24年に生まれた約810万人、第二次世界大戦直後に生まれた文化的思想的に共通している世代、と説明されていますが、これらの人々は、現在、65 歳を過ぎています。医学・医療の面では、高齢化社会とアルツハイマー病は、やや古くもなり、今まさに新しい局面を迎えている問題でもあります。アルツハイマー病は認知症<(英)dementia,(羅)de-mens>と呼ばれる病態の多くを占める (~60%) 疾患として広く知られています。さて、de-mens ですが、英語で out of one’s mind と表現されるようです。我が国では現在、65 歳以上の認知症患者は 450 万人を超えていると推定されています。従って、団塊の世代が 10 年後、75 歳を過ぎるころとなると、本邦ではどれほどまでに認知症患者が増加することになるのでしょうか;認知症では、加齢が他の因子を圧倒的に引き離して最大の危険因子とされ、実際、その病態はとくに 75 歳ころから急激に増加(10 人に一人)の傾向を示しています。ところで、こころは脳のどこにあるのでしょうか。また、こころの実態とは何か、その究明は21世紀最後のフロンティアともいわれているようですが、その脳科学は宇宙科学にも類似した多くの夢をはらんだ世界だと思います。
 本講演では、ひとりの脳病理学を専攻するものとして、脳の発達と加齢、アルツハイマー病とはどのような認知症か、発症を防ぐ対策はあるのか、そのほか知っていてよい重要な認知症はあるのか、そして最後に、こころ(mind, personality,・・・・)の問題にも触れてみたいと思います。