第27回 知の拠点セミナー

「スピン流が拓く新しい世界」

日時平成25年12月20日(金) 17時30分~
場所京都大学東京オフィス
(東京都港区港南2-15-1 品川インターシティA棟27階: アクセスマップ
講演者高梨 弘毅
東北大学 金属材料研究所 副所長、教授)
講演の詳細はこちらでご覧いただけます (Yomiuri Onlineのページを開きます)

 電子には電荷とスピンという2つの性質があります。電荷は電気の根源であり、電子が動けば電荷の流れが生じ、これは電流と呼ばれます。電流については、数百年にわたる長い研究の歴史があり、今では私たちの日常生活の中で必要不可欠なものになっています。一方、スピンは電子の自転の角運動量であり、物質が示す磁気の根源です。電子が動けばスピンの流れも生じ、これはスピン流と呼ばれます。電流が電気の流れであるのに対し、スピン流は磁気の流れということもできます。長い研究の歴史がある電流と比較して、スピン流は最近まであまり注目されることがありませんでした。しかし、現在では、電流とは独立してスピン流のみを取り出したり、制御したりする技術が開発され、スピン流に関わる新しい現象が次々と発見されています。スピン流は、今発展しつつあるスピントロニクスと呼ばれる新しいエレクトロニクスにとっても、重要な概念です。本講演では、物理学や材料科学の立場から、スピン流に関わる研究の現状を紹介し、スピン流が将来私たちの生活にどのような影響を及ぼすのかを考えます。