第16回 知の拠点セミナー

「スーパーコンピュータが拓く第3の科学」

日時平成25年1月18日(金) 17時30分~
講演者石川 裕
東京大学 情報基盤センター センター長)

 「2位じゃダメなんでしょうか?」で話題になった次世代スーパーコンピュータ「京」が、昨年、世界第1位を獲得しました。今年4月、柏キャンパス第2総合研究棟情報基盤センターには、京コンピュータの商用版である富士通製FX10が設置され運用を開始しています。物理学、化学、生物学、地学、医学、工学といった学問領域では、対象分野の現象を理論的に説明し現象を予測、実験や観測事実によってその理論の正しさを検証するという手法が取られてきました。スーパーコンピュータ(スパコン)は、実験に変わる検証法として、予測のための道具として、注目されています。スパコンを用いた学問では、現象を数理モデル(数学によって記述された現象モデル)化し、スパコンが持つ計算能力を用いて解きます。スパコンを用いた学問は、理論科学、実験科学に次ぐ、第3の科学とも呼ばれています。本講演では、「市販されているPCを沢山集めてくればスパコンは必要ないのでは」、「なぜ、世界1位のスパコンが必要なのか」、と言った疑問に対し、スパコンの仕組みを、また、スパコンが拓く科学・工学の世界の一部を紹介することによってこれら疑問に応えます。