第4回 知の拠点セミナー

「物性科学、はじめの三歩」

日時平成24年1月20日(金) 17時30分~
講演者家 泰弘
東京大学 物性研究所 所長)

 自然界に存在する物質は百種類ほどの元素のさまざまな組合せでできており,それぞれが固有の性質(物性)を示します.
 たとえば電気伝導という物性に着目すると,物質を絶縁体,半導体,金属,超伝導体に分類することができますが,同じ物質であっても物理環境(温度,圧力,磁場など)によって絶縁体から金属に変化したり,金属から超伝導体になったりすることも珍しくありません.
 物性科学という学問は,そのような多彩な物質の性質を物理学(特に量子力学と統計力学)や化学の基本原理から解き明かし,統一的物質観の構築を目指す営みです.
 物性科学はまた,半導体デバイスや磁気デバイス,光通信など,現代社会を支える先端技術の基盤となる学問です.

 本講演は「物性科学 はじめの三歩」と題して,物性科学の初歩から説き起こします.
 物性科学という学問領域への「はじめの三歩」とは次のようなものです.

第一歩:原子の構造と元素周期表
高校で習った元素周期表を覚えていますか?周期律がなぜ成り立つか説明できますか?まずは原子の構造を見てみましょう. 

第二歩:原子から固体へ
固体結晶では膨大な数の原子が整列しています.結晶の中の電子の運動を考えることによって金属と絶縁体の違いがどこから来るのかが理解できます.

第三歩:協力現象と相転移
膨大な数の構成単位が互いに影響し合う多体系は,時として質的に新しいふるまいを示します.磁性や超伝導はその典型です.

そこからさらに物性科学の多彩な世界を渉猟するには,物性研究所のホームページ http://www.issp.u-tokyo.ac.jp/ を訪れてみてください.