第13回 知の拠点セミナー

「ダイヤモンドでみる地球深部の世界」

日時平成24年10月19日(金) 17時30分~
講演者神﨑 正美
岡山大学 地球物質科学研究センター センター長)

 我々の地球物質科学研究センターでは,地球や惑星内部の超高圧・超高温の状態を再現して,地球や惑星の現在の姿とその進化を研究しています。この講演ではダイヤモンドというよく知られている宝石を通して,地球深部の超高圧の世界について紹介したいと思います。
 ダイヤモンドは最も硬い物質で,その性質のために我々の研究にとって2つの重要な意義を持ってます。
 1つはダイヤモンド自体やダイヤモンド中に取り込まれたマントル鉱物のかけらが,地球深部の貴重な情報をもたらすことです。そのため「ダイヤモンドは地底からの手紙」と呼ばれることがあります。これはダイヤモンドの強さがそれらのかけらを変質等から守ってくれるからです。これらの研究および超高圧実験から分かって来た地球深部の鉱物たち(それらも宝石の一種)についてお話します。
 ダイヤモンドのもう1つの重要な意義は,超高圧発生の手段となることです。宝石級のダイヤモンドを2個対向させた装置では,簡単に超高圧を発生することができます。この装置は手のひらに載るほどのもので,実物を当日お見せします。さらにそれを使って「冷たくない高圧氷」を作る実験をお見せしたいと予定してます。
 この装置をはじめ,ダイヤモンドの非常に硬い性質を生かした超圧力の発生方法についてお話しします。また,ダイヤモンドの合成の歴史についても興味深い話が多いので,そちらも紹介します。