第91回 知の拠点セミナー

第91回 知の拠点セミナー
講演1 「時間選好率の違いが生む貿易戦争」 / 講演2 「福島第一原発事故により陸域に降下した放射性物質はどこへ行ったのか?」

日時 令和元年10月18日(金) 18時00分~20時00分(※17時30分から受付開始)
場所 京都大学東京オフィス
(東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸の内ビルディング10階:アクセスマップ
JR、東京メトロ丸ノ内線「東京駅」直結。東京駅新幹線ホームより徒歩10分。丸の内北口改札出てすぐ。
※令和元年6月より開催場所が変わりましたのでご注意ください。
プログラム
18:00-19:00
講演1 「時間選好率の違いが生む貿易戦争」

堀井 亮(大阪大学社会経済研究所 教授・所長 )
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19:00-20:00
講演2 「福島第一原発事故により陸域に降下した放射性物質はどこへ行ったのか?」

恩田 裕一(筑波大学アイソトープ環境動態研究センター センター長 )
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講演1:「時間選好率の違いが生む貿易戦争」

堀井 亮(大阪大学社会経済研究所 教授・所長 )

写真(講演者)

 アメリカと中国の貿易戦争が激しさを増しており、世界経済全体のリスクになっています。貿易戦争の背景には、中国とアメリカの間の貿易不均衡があります。長期間にわたって、中国からアメリカへの輸出が、アメリカから中国への輸出を上回っていたため、アメリカの対外債務が膨らんでいるのです。日本とアメリカの間にも1960年代~80年代にかけて同様の貿易摩擦がありました。これは、日本や中国の貿易慣行や制度、あるいは為替レートが不公正だったからなのでしょうか?
 本講演では、長期的な貿易不均衡を、貿易慣行ではなく各国の消費者の行動の違いから説明する新しい考え方を紹介します。各種調査により、将来と現在の関係をどう考えるかという「時間選好率」が各国で違うことが示唆されています。日本や中国のように、老後の生活など長期的問題を比較的重視する国と、今現在の生活の充実など短期的問題を優先する国とでは、どれほど消費するか、貯蓄するかというパターンが異なってきます。貯蓄パターンの違いが、国際資本移動を通じて、対外債務や貿易不均衡につながる、というメカニズムを解説します。
 この仮説が正しければ、貿易慣行が公正でも、貿易不均衡は発生します。中国がいくら自由化しても、アメリカが要求するような貿易赤字の削減は見込めません。では、不均衡や貿易戦争はいつまでも続くのでしょうか?将来どのようになるかという見通しの理論シミュレーション分析も紹介します。

 

図1:過去30年の日本の国際収支の動き

 

 

図2:世界の純債務(外国からの借金)の半分近くはアメリカ。最大の貸し手は日本、中国

 

図3:国際アンケートによる各国の考え方の違い

 

図4:時間選好率の違いを反映した国際マクロ経済シミュレーション

 

講演2:「福島第一原発事故により陸域に降下した放射性物質はどこへ行ったのか?」

恩田 裕一(筑波大学アイソトープ環境動態研究センター センター長 )

写真(講演者)

 福島第一原子力発電所の事故により放出された陸域に沈着した放射性物質は、事故後7年間でどのように変化してきたのでしょうか。本公演では、長期モニタリング結果を中心に、放射性物質の土壌中での移動,森林生態系内での循環,河川による移動についてお話しします。

 

 

 

 

 

 

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